岸田國士の名言25選|言葉・演劇・生活・個性を考える言葉

岸田國士の1930年の肖像画

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不可解さ、批評、夢と向き合う

21. 分からなくても、届くものがある

解らない、然し、何だか、かうふわつと来るものがある。少しぢれつたい、が、悪い気持ちぢやない。

出典:『「不可解」の魅力』

芸術は、意味を完全に説明できたときだけ届くのではありません。輪郭の曖昧な印象が、理解より先に心へ触れることがあります。

曖昧さに耐える力は、答えを放棄することではなく、早すぎる結論を保留する力です。分からない作品に出会ったら、理解できた一場面だけ持ち帰る読み方もあります。

22. 分かる部分が、分からない部分を支える

此の解る部分の魅力が、解らない部分の魅力をかなり左右することにも気がついてゐる。

出典:『「不可解」の魅力』

すべてが謎なら、観客は足場を失います。一部でも確かな美しさや真実味があるから、分からない部分にも付き合う気持ちが生まれます。

説明でも同じです。未知の話をするとき、相手がすでに知っている例を一つ置けば、複雑さを削りすぎずに入口を作れます。

23. 批評は、欠点の原因まで見分ける

その欠点が、新感覚派の主張から生じた欠点であるか、作家の才能不足から生じた欠点であるか、そこをはつきり見分けてからにするがいい。

出典:『自問自答』

結果だけを見て思想全体を否定するのは、批評として粗い。岸田は、考え方に問題があるのか、実行が未熟なのかを分けるよう求めます。

私には、失敗を人格の欠陥にまとめないための言葉にも感じられます。

出来事と解釈を分け、「方針が悪かったのか、準備が足りなかったのか」と問い直せば、責めることから修正できる一手へ戻れます。

24. よりよくできると思うなら、形にする

自分ならもつと佳いものが書けると思つたら、愚図々々云はずに、何か書いて見るがいゝ。

出典:『自問自答』

批判には、安全な観客席へとどまりやすい誘惑があります。岸田は、優劣を口で争う代わりに、作品を差し出す責任を求めます。

完成品でなくても、短い試作なら現実が答えを返してくれます。完璧を待つより、まず一頁、一案、一場面を作る。それが批評を創造へ変える境目です。

25. 夢は、未来の現実へつながっている

「夢」は「現実」に対して、「かくありたいもの」の最上のすがたなのですが、それは未来の現実となり得るもの、少くとも、その可能性を含んだものであつて、まさに、現実とつながる生命をもつたものです。

出典:『青年の夢と憂欝』

夢は現実逃避ではなく、まだ存在しない現実の輪郭です。ただし、時代背景を考えれば、この文章全体には戦時期の価値観も混じります。ここでは、その部分を普遍的な人生訓へ拡大せず、夢と実現の関係を述べた一節として読みます。

大きな理想は、一度に達成できる計画でなくてかまいません。吉川英治の学びと仕事の言葉にも重なるように、今日の行動へ翻訳できる一部分があるとき、夢は現実との糸を失わずに済みます。

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短い一節の背景を知りたい方は、評論集や戯曲集をあわせて読むと、言葉への不信と期待がどのように作品へ結びついたかを確かめられます。

まとめ

岸田國士の25の言葉は、表現の技術を教えるだけではありません。言葉は人柄を映し、感性は理解に支えられ、暮らしの美しさは日々の組み立てから生まれると語りかけます。

分からないものを急いで切り捨てず、批評するなら原因を見分け、よりよい形を実際に作ってみる。その静かな厳しさは、演劇の外にいる私たちの仕事や対話にも届きます。

出典・参考文献

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