善悪と人間の複雑さを見つめる言葉
21. 死は、苦しい夢から目覚めることかもしれない
We sometimes congratulate ourselves at the moment of waking from a troubled dream: it may be so the moment after death.
苦しい夢から目覚めた瞬間、私たちは安堵することがある。死の直後も、そうなのかもしれない。
出典:『Passages from Hawthorne’s Note-Books I』1836年
死後を断定する言葉ではなく、「かもしれない」と想像する一節です。恐れの対象を、苦痛からの目覚めとして捉え直すことで、心に別の見方を与えます。
確かめられないことについて、断定ではなく比喩を持つ。それは不安を消す保証ではありませんが、恐れに占領された視野を少し広げます。
22. 望んだものも、過剰なら重荷になる
A person or family long desires some particular good. At last it comes in such profusion as to be the great pest of their lives.
ある人や家族が、特定の幸運を長く望み続ける。ついにそれがあふれるほど訪れ、人生最大の厄介事になる。
出典:『Passages from Hawthorne’s Note-Books I』1835年10月25日
願いがかなうことと、暮らしが良くなることは同じではありません。量や維持の負担まで考えなければ、幸運が新しい不自由へ変わる場合があります。
目標を立てるときは、手に入れた後の日常も想像したいところです。欲しいものの大きさより、それをどう扱い、何と両立させるかが満足を左右します。
23. 共通する一つの事情が、人を結び直す
Some common quality or circumstance that should bring together people the most unlike in all other respects, and make a brotherhood and sisterhood of them.
一つの共通する性質や事情が、ほかの点ではまったく異なる人々を引き合わせ、兄弟姉妹のようなつながりをつくる。
出典:『Passages from Hawthorne’s Note-Books I』1835年
立場や財産が違っても、病気、喪失、喜び、同じ仕事といった経験が、隔たりを越えて人を近づけます。共通点はすべてを同じにするのではなく、対話の入口になります。
違いをなくそうとするより、一つでも共有できる現実を見つけるほうが、関係は動きやすくなります。理解は全面的な一致ではなく、接点から始まります。
24. 静けさの中で、遠い声が聞こえる
When that is silent, the calm, full, distant voice of the river becomes audible.
それが静まると、穏やかで満ちた、遠い川の声が聞こえてくる。
出典:『Passages from Hawthorne’s Note-Books II』1837年7月
風や作業の音が止んだとき、いつも流れていた川の音が現れます。新しい音が生まれたのではなく、ほかの音に覆われていたものが聞こえたのです。
心の中でも同じことが起こります。すぐ答えを出そうとする声が静まると、以前からあった小さな違和感や願いに気づけます。
25. 幼い笑顔は、喜びの夢を映す
Then all its dreams seemed to be of pleasure and happiness.
そのとき、その子の夢はすべて喜びと幸福でできているように見えた。
出典:『Passages from Hawthorne’s Note-Books III』1837年7月31日
眠る赤ん坊が頬に触れられて微笑む様子を、ホーソーンは細やかに記しました。暗い主題を扱った作家のノートにも、無防備な幸福を見つめる視線があります。
世界を深く見ることは、悲しみだけを見ることではありません。小さな笑顔や一瞬の安らぎを見逃さないことも、現実を正確に受け取る態度です。ホーソーンと同時代以後のアメリカ詩をたどるなら、ホイットマンの名言も参考になります。
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まとめ
ナサニエル・ホーソーンの25の言葉には、暗い人間心理だけでなく、日常の幸福、自然への観察、創作の驚き、他者とのつながりが息づいています。
とりわけ印象的なのは、同じ泥から異なる花が育つという比喩です。環境の力を認めながら、その中から何を受け取り、周囲へ何を返すかを問いかけています。ホーソーンを批評した作家の視点も知りたい方は、エドガー・アラン・ポーの名言もご覧ください。
出典・参考文献
- Passages from Hawthorne’s Note-Books I, The Atlantic Monthly, 1866
- Passages from Hawthorne’s Note-Books II, The Atlantic Monthly, 1866
- Passages from Hawthorne’s Note-Books III, The Atlantic Monthly, 1866
- Passages from Hawthorne’s Note-Books VII, The Atlantic Monthly, 1866
- Wikisource: Author:Nathaniel Hawthorne

