21. 大学は、宗教や政治の機関ではない
This university is neither an organ of religion nor an organ of politics.
この大学は、宗教の機関でも政治の機関でもない。
出典:新島襄『同志社大学設立の旨意』(1888年、後半・大学の独立性。原文を現代語化・英訳)
キリスト教主義を徳育の基礎に置きながらも、大学を伝道や政党の道具にはしないと明言しました。目的と機関の独立性を区別しています。
教育機関が特定の権力や党派の道具にならないことは、学問の自由と公共性を守る上で重要です。
社会を支える人を育てる
22. 進路は千差万別でよい
What graduates become will differ in countless ways and should not be fixed beforehand.
卒業後に何を成し遂げるかは千差万別であり、あらかじめ定めるべきではない。
出典:新島襄『同志社大学設立の旨意』(1888年、終盤・卒業生の多様性。原文を現代語化・英訳)
教育の成果を一つの職業や型へ限定しません。個々の資質が異なるからこそ、社会の多様な場所で力を発揮できます。 伊藤博文の立憲政治に関する言葉と並べると、制度と人材を両輪として見る必要が分かります。
理想の進み方を一つに限定せず、目的に届く別の道を一つ考えてください。
23. 人々が、国の精神・元気・柱石になる
These people will become the spirit, vitality, and supporting pillars of the nation.
これらの人々は、一国の精神となり、元気となり、柱石となる。
出典:新島襄『同志社大学設立の旨意』(1888年、終盤・人材育成の目的。原文を現代語化・英訳)
社会を動かすのは、有名な指導者だけではありません。それぞれの場所で責任を果たす多くの人が、共同体を支えます。
社会の安定は、一部の著名人だけでなく、各所で責任を果たす無数の人の働きに支えられています。
24. 国を維持するのは、二、三の英雄ではない
A nation is not sustained by the power of two or three heroes.
一国を維持するのは、決して二、三の英雄の力ではない。
出典:新島襄『同志社大学設立の旨意』(1888年、終盤・一国の良心。原文を現代語化・英訳)
英雄待望ではなく、市民の教育と品性を重視する言葉です。社会を誰か一人に救わせる発想から、各人の責任へ視点を戻します。
誰かの大改革を待たず、自分の範囲で改善できることを一つ実行してください。
25. 教育・知識・品行ある人民が国を支える
A nation must be sustained by people who possess education, knowledge, and character.
一国は、教育があり、知識があり、品行ある人民の力によって支えられなければならない。
出典:新島襄『同志社大学設立の旨意』(1888年、終盤・一国の良心。原文を現代語化・英訳)
新島は、知識と品行を並べています。賢さだけでも善意だけでもなく、学びを責任ある行動へ結びつける人を求めました。 木戸孝允の公正と民生の言葉も、社会を支える市民の資質を考える手掛かりです。
知識と品行を結びつける視点は、情報量が多い時代ほど重要になります。
26. 良心が全身に満ちた人物を願う
I long for the rise of people whose whole being is filled with conscience.
良心が全身に充満した丈夫が起こり来ることを願う。
出典:新島襄「横田安止宛書簡」(1889年11月23日。同志社大学良心碑所掲、自筆文を現代語化・英訳)
良心を一時的な感情ではなく、全身を動かす原理として表した言葉です。考え、技能、日常の選択が同じ方向を向く状態を願っています。
良心を全身に満たすという比喩は、価値観と日常行動の一貫性を求めるものとして読めます。
27. 百年の計は、人を植えることにある
The plan for one hundred years lies in planting people.
百年の計は、人を植えることにある。
出典:新島襄『同志社大学設立の旨意』(1888年、終盤・百年の大計。原文を現代語化・英訳)
人を植えるとは、人を道具として扱うことではなく、成長のための時間と環境を整える比喩です。教育の成果は、短期の数字だけでは測れません。
一年後にも役立つ小さな学びを、今日五分だけ始めてください。
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書簡集、教育宗教論集、同志社創立史をあわせると、短い言葉が生まれた状況と、新島が目指した人間像をより正確に理解できます。
まとめ
新島襄の言葉は、教育を知識の伝達に限定せず、良心を現実の手腕へ変える営みとして捉えています。自由は放任ではなく自制を伴い、自治自立は孤立ではなく、共同体への責任を引き受ける力です。
また、新島は社会を二、三の英雄に委ねませんでした。教育、知識、品行を備えた多くの人が、それぞれの場所で社会を支えるという考えです。
迷ったときは、立派な言葉を増やすより、良心に照らして今できる小さな行動を一つ選ぶことが、新島の思想に最も近い実践です。
出典・参考文献
- 新島襄『同志社大学設立の旨意』1888年。『同志社百年史』資料編一所収。全文を確認する
- 学校法人同志社「同志社大学設立の旨意」。資料解説を確認する
- 同志社大学「良心教育と教育理念」。良心碑と書簡の解説を確認する
- 新島襄著、森中章光編『新島先生書簡集』同志社校友会、1942年。国立国会図書館の書誌情報を確認する
- 同志社大学学術リポジトリ「同志社設立の始末」。原資料情報を確認する

