トマス・ホッブズの名言30選|人間・自由・平和を考える哲学の言葉

トマス・ホッブズの肖像と『リヴァイアサン』、古書、羽根ペンを描いた名言記事のアイキャッチ画像

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欲望・権力・幸福を見つめるホッブズの名言

21. 力とは、未来の善を得るための現在の手段である

The Power of a Man, to take it Universally, is his present means, to obtain some future apparent Good.

人の力を一般的に言えば、将来よいと思われるものを得るために現在持っている手段である。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第10章(日本語訳は筆者訳)

力は肩書きや支配だけではなく、未来の目的へ使える現在の手段です。知識、時間、信用、道具、助けを求められる関係も力に含まれます。

自分にないものを数える代わりに、今使える手段を三つ挙げてみてください。小さな資源を組み合わせれば、止まっていた行動を再開できることがあります。

22. 人の価値は、必要とされる場面で変わる

The Value, or Worth of a man, is as of all other things, his Price; that is to say, so much as would be given for the use of his Power.

人の価値は、ほかのすべてのものと同じく、その力を利用するためにどれほど与えられるかという価格である。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第10章(日本語訳は筆者訳)

現代の感覚では厳しい表現ですが、ホッブズは社会的な評価が固定された本質ではなく、状況や需要によって変わることを述べています。

市場での評価と、人間としての尊厳を混同しないことが重要です。仕事で評価されない時期も、自分全体の価値を否定する根拠にはなりません。役立てる場面を一つ変えるという選択があります。

23. 幸福は、欲望が次の対象へ進み続ける運動である

Felicity is a continual progress of the desire, from one object to another.

幸福とは、欲望が一つの対象から別の対象へ絶えず進んでいくことである。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第6章(日本語訳は筆者訳)

一つを手に入れれば永久に満たされる、という幸福観をホッブズは取りません。人は達成の後にも、新しい目的へ動きます。

だからこそ、到着だけでなく進む過程にも小さな満足を置く必要があります。今日の作業を終えたら、結果の大小にかかわらず一度区切りを付ける。それが今を幸福に変える工夫です。

24. 権力への欲望は、死ぬまで止まりにくい

I put for a general inclination of all mankind, a perpetual and restless desire of Power after power, that ceaseth only in Death.

私は全人類に共通する傾向として、死によってのみ終わる、力からさらなる力を求める絶え間ない欲望を挙げる。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第11章(日本語訳は筆者訳)

もっと成果を、もっと安心を、もっと影響力をと求める動きには終点がありません。欲望を悪と決めつけるより、際限がない性質を知ることが大切です。

満足の条件を外側だけに置くと、休む時点が消えてしまいます。「今日はここまで」を先に決めることは、怠慢ではなく欲望を扱うための理性的な境界線です。

25. 未来への不安は、原因を知ろうとさせる

Anxiety for the future time, disposeth men to inquire into the causes of things.

未来への不安は、人を物事の原因を探究するように向かわせる。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第12章(日本語訳は筆者訳)

不安には苦しさがありますが、原因を調べ、備える方向へ人を動かす面もあります。問題は、調査が行動につながらず無限に続くときです。

調べる時間を十分に区切り、最後に一つ行動を決めると役割を終えやすくなります。十分調べたら、予約する、メモする、相談する。その一手で不安を準備へ変えられます。

戦争・平和・国家を考えるホッブズの名言

26. 平和へ向かわせるのは、死への恐れと生活への希望である

The Passions that incline men to Peace, are Fear of Death; Desire of such things as are necessary to commodious living; and a Hope by their Industry to obtain them.

人を平和へ向かわせる情念は、死への恐れ、快適な生活に必要なものへの欲望、そして勤勉によってそれらを得られるという希望である。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第13章(日本語訳は筆者訳)

平和は高尚な善意だけから生まれるのではなく、安全に生きたいという切実な願いからも生まれます。恐れや欲望にも、協力へ向かう力があります。

自分の感情を恥じるより、その感情が守ろうとしているものを見る。安全、生活、希望が分かれば、争う以外の手段を考えやすくなります。

27. 共通の力がなければ、対立は戦争状態になる

During the time men live without a common Power to keep them all in awe, they are in that condition which is called War.

人々が全員を抑える共通の力なしに暮らす間、彼らは戦争と呼ばれる状態にある。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第13章(日本語訳は筆者訳)

戦争は戦闘が続いている時間だけではなく、互いを信用できず、いつ争いが起きてもおかしくない状態を含みます。

小さな組織でも、共通のルールや調整役がなければ警戒が続きます。個人の性格だけを責める前に、判断基準や相談先を明確にすることが平和への具体策になります。

28. 安全のない生活は、孤独で貧しく短い

The life of man, solitary, poor, nasty, brutish, and short.

人の生活は、孤独で、貧しく、不快で、粗暴で、短い。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第13章(日本語訳は筆者訳)

有名な一節ですが、人間の人生全般を悲観した言葉ではありません。共通の安全保障がなく、産業や文化を持続できない状態の生活を描いています。

文脈を知ると、この言葉の中心は絶望ではなく制度の必要性にあります。安心して働き、学び、関係を築ける条件を守ることが、人間らしい生活の土台になります。

29. 第一の自然法は、平和を求めて従うこと

Every man ought to endeavour Peace, as far as he has hope of obtaining it.

すべての人は、平和を得られる希望がある限り、それを求めて努力すべきである。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第14章(日本語訳は筆者訳)

平和を望むだけではなく、可能な範囲で努力することが第一の原則になります。同時に、希望がある限りという現実的な条件も付いています。

関係を一度で修復しようとしなくても構いません。攻撃的な一文を削る、話す時間を決める、第三者を交える。平和を選べる最小単位まで行動を小さくできます。

30. 剣のない契約は、言葉にすぎない

Covenants, without the Sword, are but Words, and of no strength to secure a man at all.

剣による強制力を伴わない契約は、ただの言葉であり、人の安全を保障する力を持たない。

出典:トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』第17章(日本語訳は筆者訳)

約束には、それを守らせる制度や結果が必要だという指摘です。善意だけでは、破った方が得をする状況を長く支えられません。

日常では剣ではなく、記録、期限、確認、権限の明確化が約束を支えます。人を疑い続けるためではなく、互いが安心して信頼できる環境をつくるための仕組みです。

ホッブズの哲学をほかの思想家と読み比べる

自由と社会の関係をさらに考えるなら、ジョン・スチュアート・ミルの名言が対照的な視点を示します。国家や個人の自由を、異なる時代の問題意識から読み比べられます。

人間の理性と感情については、ヒュームの名言スピノザの名言も参考になります。歴史と自由の大きな流れを考える場合は、ヘーゲルの名言へ進むと、思想の違いが見えやすくなります。

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まとめ|恐れを直視し、平和を選ぶための言葉

ホッブズの30の言葉には、人間の弱さを否定せず、対立を減らす仕組みを考える姿勢が通っています。欲望や恐れがあること自体を責めるのではなく、それらが社会でどのように働くかを見極めようとしました。

不安を完全に消すことより、事実と想像を分け、約束を守り、相手の立場からも判断する。その一つひとつが、日常における小さな平和につながります。

今日は、決めつけていることを一つだけ紙に書き、「確認できた事実」と「自分の解釈」に分けてみてもいいかもしれません。理性は、遠い理想ではなく、目の前の関係を少し整えるところから働き始めます。

出典・参考文献

参考:Thomas Hobbes, LeviathanThe English Works of Thomas Hobbes, Volume IV: Human NatureThe English Works of Thomas Hobbes, Volume II: De Cive(Project Gutenberg公開版)。

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