与謝野晶子は、歌人・詩人として知られる一方、個性、女性の自立、教育、参政権、平和についても明確な言葉を残した評論家です。この記事では、意味が完結し、出典を確認できる評論の文章から25の言葉を選びました。
晶子の主張は、単に「強く生きる」ことを勧めるものではありません。一人ひとりの個性と権利を尊重し、自分で考えて働き、他者と対等に協力しながら幸福を築くという一貫した思想があります。
同時代の教育と自立を考える記事として、津田梅子の名言と新島襄の名言もあわせて読むと、近代日本で個人の自由がどのように語られたかを立体的に捉えられます。
個性を尊重し、自分の人生を選ぶ
1. 人には共通点と固有の個性がある
Human nature and constitution contain both traits shared by everyone and qualities unique to each individual.
人の性情にも体質にも万人共通の点即ち類性と、個人独得の点即ち個性とがあります。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第1段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
人を理解するとき、性別や年齢などの共通項だけで判断すると、その人だけが持つ性質や可能性を見落とします。晶子は、型に人を合わせるのではなく、個性を基準に生き方を考える視点を示しました。
今日は、自分に合わない「普通」を一つだけ書き出し、その隣に自分が本当に選びたい方法を短く書いてみましょう。
2. 習慣よりも人を大切にする
We can lose sight of whether people are precious or customs are precious.
人が尊いか、習慣が尊いか解らなくなっております。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第1段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
長く続いた慣習にも役割はありますが、人を傷つけたり可能性を閉ざしたりするなら見直す必要があります。制度や常識は、人の幸福を支えるための手段であって目的ではありません。
身近な決まりを一つ選び、「これは誰を助け、誰を苦しくしているか」と一分だけ考えてみてください。
3. 個性・権利・自由を生活の土台にする
The foundation of modern standards is respect for each person’s individuality, rights, and freedom.
現代の新規範は、各人の個性と権利と自由とを尊重する事が根柢の精神になっております。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第3段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
自由は好き勝手に振る舞うことではなく、他者の権利も尊重しながら自分の選択を引き受けることです。個性、権利、自由を同時に考えることで、自分だけでなく周囲も生きやすくなります。
何かを決める前に、「自分の自由」と「相手の権利」を一行ずつ書き、両方を守れる選択を探しましょう。
4. 性別より先に、一人の人間である
Modern women have awakened to the realization that women, like men, are human beings.
現代の婦人が「女もまた男子と同じく人である」という自覚を得ました。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第4段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
晶子の言葉は、役割や属性の前に人格があるという原則を明確にします。誰かを「女性だから」「男性だから」と一括りにせず、希望や能力を持つ一人の人として見ることが出発点です。
今日一度だけ、相手の属性ではなく、その人自身の考えを尋ねる質問をしてみてください。
5. 対等さを拒む側こそ学び直す
I believe that a man who refuses to place women on an equal footing with himself reveals his own lack of learning.
女子を自分と対等な位地に置くことを肯ぜないのは、男子がそれだけ無学であるからだと私は考えて男子のために恥じております。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第4段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
対等な関係を脅威に感じるとき、問題は相手の能力ではなく、自分の思い込みにある場合があります。晶子は、不平等を当然とする知識や教育そのものを問い直しました。
自分が無意識に決めつけている役割を一つ見つけ、「逆でも成り立つか」と考えてみましょう。
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与謝野晶子の評論をまとまった形で読む
短歌だけでなく、自立、教育、平等、愛についての考えを原文で読むと、言葉の背景がより明確になります。まずは評論集を探して、自分の関心に近い一篇から読む方法がおすすめです。
自立・労働・創造を力にする
6. 自分の力で生活を支える
Women have come to live by their own strength and even support their parents and siblings.
女子が自己の力で生活し父母兄弟をも養って行くという形勢になって参りました。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第7段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
経済的自立は、収入の大小だけでなく、自分の判断で生活を組み立てる力に関わります。支える側と支えられる側を固定せず、能力に応じて協力できる関係が望まれます。
自立に近づく小さな一歩として、今月の固定費を一項目だけ確認してみてください。
7. 役割を超えて働く可能性を持つ
With the awareness that “I too am a human being,” women learned that their abilities extend beyond being wives and mothers to every form of mental and physical work.
「我も人である」という自覚の下に女子の職能は単に妻として、母としてのみでなく、精神肉体両方のあらゆる労働に由って、男子との協同生活が豊かに出来る事を知りました。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第8段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
家庭の役割と社会の仕事は、どちらか一方だけを選ぶものとは限りません。個人の希望や事情に応じて組み合わせ、協力の形を変えることが豊かな共同生活につながります。
自分が担っている仕事を「家庭」「職業」「地域」の三つに分け、偏りが強い部分を一つ確認しましょう。
8. 不利な状況を貢献へ転換する
They awakened the resolve to contribute to humanity and to turn misfortune into good fortune.
人類のために貢献しよう、禍を転じて福としようという努力心を振い起すに至りました。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第8段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
苦しい状況を美化する必要はありません。それでも、経験から得た知識や工夫を誰かの役に立つ形へ変えれば、状況に一方的に支配されずに済みます。
最近の失敗から得た教訓を一行にし、次の行動へ使える形に言い換えてください。
9. 天分は一つの役割に限定されない
A woman may be a good wife and mother while also expressing her gifts as a scholar, public servant, artist, educator, or worker.
良妻にも賢母にも成り得ると同時に、学者、官吏、芸術家、教育者、諸種の労働者としても天分を発揮し得る事を示すに到ります。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第9段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
人には複数の役割と能力があります。一つの肩書だけで自分を定義すると、別の可能性を育てる余地がなくなります。生活の時期によって重点を変えることも自然です。
自分の肩書を三つ書き、その外側に「まだ試していない役割」を一つ加えてみましょう。
10. 人生の全体を一つの選択に預けない
Knowing that marriage is not the whole of one’s life, I hope women will open their own paths according to their circumstances and individuality.
結婚のみが自分の全部でないという見識から、境遇と自分の個性とに順じて思い思いの進路を開き、いろいろに立派な変り物の婦人が多く出て来られる事を望みます。
出典:与謝野晶子「女子の独立自営」第10段落(1911年『婦人の鑑』初出。英訳は当サイトによる)
結婚に限らず、仕事、学歴、成功など一つの条件を人生のすべてにすると、失ったときに自己評価まで崩れやすくなります。複数の価値を持つことは、人生の回復力を高めます。
大切なものを「人」「活動」「場所」の三種類から一つずつ挙げ、支えを分散させてください。
11. ただ生きるだけでなく、より善く生きる
Human beings are distinguished not by merely living like animals, but by striving to live better.
人間は動物の如く単に「生きる」というものでなくて「より善く生きよう」とする所に特長があります。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第6段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
「より善く」は、他人より優れることではありません。昨日より少し誠実に、少し自由に、少し周囲へ配慮して生きることです。理想を日々の選択へ落とすことで、言葉が生活になります。
今日を一ミリ善くする行動を一つだけ決め、五分以内に着手しましょう。
12. 創造とは未来を発明すること
Creation is the ability to invent a new future using the past and present as materials.
創造は過去と現在とを材料としながら新しい未来を発明する能力です。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第7段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
創造は無から何かを生み出すことではなく、経験や知識を新しい組み合わせへ変えることです。過去は足かせにもなりますが、扱い方によって未来の材料にもなります。
手元にある知識を二つ選び、組み合わせて作れそうな小さな企画を一行で書いてください。
この「創造」を人生の側から読み直すなら、坂口安吾の自由をめぐる言葉も比較の手掛かりになります。
自由と平等を生活で実現する
13. 人格の中心には創造する力がある
The true center of personality must be the power to create.
人格の中心となるものは実にこの創造能力を推さねばなりません。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第8段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
人の価値を、従順さや既存の型への適合だけで測ると、新しい考えは育ちません。問いを立て、試し、改善する力は、仕事でも家庭でも人格の能動性を支えます。
今日の作業を一つ選び、「もっと簡単にする方法」を一案だけ試してください。
14. 自存・自労・自活・自営を築く
Only by using creative power to build a life of self-existence, self-labor, self-support, and self-management can one become an active builder of culture.
この創造能力を用いて、自存、自労、自活、自営の生活を建設してこそ初めて堅実な積極的の文化生活者と称することが出来ると思います。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第8段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
自立は孤立ではありません。自分で考え、働き、生活を支え、必要な助けを適切に求めることです。主体性を持つ人同士の協力は、依存を隠した関係よりも安定します。
他人任せになっている小さな用事を一つ選び、自分で調べるところまで進めてみましょう。
15. 外の権力に圧倒されない権利
Human beings possess the right to freedom and independence, sufficient not to be crushed by powers outside themselves.
人間は如何なる自己以外の権力にも圧倒されないだけの「自由独立の権利」を持っています。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第9段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
自由独立の権利は、圧力に一人で耐え続ける義務ではありません。不当な命令を疑い、相談し、制度を使い、必要なら距離を取るための基盤です。
断りにくい依頼があるなら、「今は引き受けられません」と伝える短い文を準備しておきましょう。
16. 能力を伸ばす機会は平等であるべき
Each person has the right to equal opportunity to develop their creative ability—the right to equality.
個人個人がこの能力を開展する機会を均等にする権利、即ち「平等の権利」を持っています。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第9段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
平等は全員を同じ結果にそろえることではなく、能力を伸ばす入口を不当に閉ざさないことです。環境の差が大きいときには、同じ扱いだけでなく必要な支援も求められます。
自分の周囲で参加しにくい人がいないか確認し、情報共有の方法を一つ改善してみてください。
17. 文化生活の権利を性別で分けない
The equal right to participate in cultural life should also be shared by women.
文化生活に対する平等の権利は婦人にも分配されるべきものだと思います。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第17段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
文化生活には、教育、表現、仕事、政治参加などが含まれます。誰かの才能を性別によって狭めることは、その人だけでなく社会が受け取れる価値まで減らします。
身近な会議や企画で発言者が偏っていないかを一度確認し、声をかける相手を一人増やしましょう。
18. 国民としての立場は平等である
We are equal in being members of the nation.
我々は日本国民たることにおいて平等です。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第11段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
義務を等しく負うなら、意思決定へ参加する権利も等しくあるべきだという論理です。共同体は、一部の人だけが決め、他の人が従う仕組みでは長く安定しません。
家庭や職場の決定で影響を受ける人に、決定前に意見を一つ尋ねてください。
19. 共同体は全員の働きで支えられる
A nation is sustained by the service of all its people and develops through their cooperation.
国家は国民全体の勤務に依って支持されて行くものです。国家は国民全体の協力の中に生存し発達して行くものです。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第12段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
目立つ役割だけでなく、日々の労働、家事、介護、教育など多様な働きが社会を支えています。見えにくい貢献を認識することが、公平な制度や感謝につながります。
今日支えてもらった見えにくい仕事を一つ見つけ、具体的に感謝を伝えてみましょう。
20. 財産で創造力を測らない
It is reckless to measure a citizen’s creative ability by whether or not they possess wealth.
財産の有無を以て国民の創造能力を測定することは乱暴だと思います。
出典:与謝野晶子「婦人も参政権を要求す」第15段落(1919年『婦人公論』初出。英訳は当サイトによる)
資産や肩書は一つの条件にすぎず、発想力、判断力、誠実さを直接示すものではありません。外から見える数字だけで人の可能性を決めると、有能な人を排除する危険があります。
人を評価するときに使っている基準を三つ書き、成果以外の要素が入っているか確認してください。