21. 恵まれた力は、他者への奉仕に使われるべきである
The doctrine of equality will be vindicated if those who have superior intellect will use it not for self-advancement at the expense of others, but for the service of those who are less favoured.
優れた知性を持つ人が、それを他者を犠牲にした自己利益のためではなく、恵まれない人への奉仕に使うなら、平等の理念は実証されるでしょう。
出典:マハトマ・ガンディー『Economic Equality』所収(日本語訳は筆者訳)
才能や知識は、比較のための勲章ではなく、現実を少しよくするための道具として使えます。
自分が知っていることを、必要としている誰かに一つだけ分かりやすく伝える。善進とは、こうした一ミリの改善でもあります。
自分を律し、学び続ける言葉
22. 人間らしさは、自制できるところに表れる
Man is man because he is capable of, and only in so far as he exercises self-restraint.
人間が人間であるのは、自制する能力を持ち、実際にそれを働かせる限りにおいてです。
出典:マハトマ・ガンディー『An Autobiography』238頁(日本語訳は筆者訳)
感情や欲求が生まれること自体は悪くありません。そこからどの行動を選ぶかに、人間の自由があります。
スマートフォンを一分だけ伏せる、衝動買いを一晩置く。小さな自制は、自分を罰することではなく、選択権を取り戻すことです。
23. 人は、道徳的に高まろうと努める存在である
What distinguishes him from the brute is his ceaseless striving to rise above the brute on the moral plane.
人間を動物的な存在から区別するのは、道徳の面でそれを超えようと絶えず努めることです。
出典:マハトマ・ガンディー『Harijan』1946年4月7日、74頁(日本語訳は筆者訳)
一度も失敗しないことではなく、失敗したあとに選び直すことが、人間らしさをつくります。
完璧より再開を重視し、今日できなかったことは、明日ではなく今、一分だけやり直してもかまいません。
24. 学びは、問い続ける姿勢から始まる
Persistent questioning and healthy inquisitiveness are the first requisite for acquiring learning of any kind.
粘り強く問い続けることと、健全な好奇心は、あらゆる学びを得るための第一条件です。
出典:マハトマ・ガンディー『Harijan』1946年9月8日、306頁(日本語訳は筆者訳)
分かったつもりになると、学びは止まります。問いは、自分の無知を責めるためではなく、見えていない部分へ近づくための道具です。
今日読んだ文章に「本当にそうだろうか」と一つだけ問いを書き足す。それだけでも理解は深まります。
25. 良心に従い、自分の主人になる
Every man has to obey the voice of his own conscience, and be his own master, and seek the Kingdom of God from within.
一人ひとりが自らの良心の声に従い、自分自身の主人となり、内側に神の国を求めなければなりません。
出典:マハトマ・ガンディー『The Collected Works of Mahatma Gandhi』第10巻、249頁(日本語訳は筆者訳)
周囲の評価だけを基準にすると、判断はいつも外側に引っぱられます。良心に従うとは、独善的になることではなく、自分の行動を自分で検討し、責任を引き受けることです。
人の反応を予測する前に、「自分は何を誠実だと思うか」を一行書いてみてください。
奉仕と謙虚さを行動へ変える言葉
26. 国家の力が大きくなりすぎると、個人性が損なわれる
I look upon an increase in the power of the State with the greatest fear, because, although while apparently doing good by minimizing exploitation, it does the greatest harm to mankind by destroying individuality which lies at the root of all progress.
私は国家権力の増大を最大の恐れをもって見ています。搾取を減らして善を行うように見えても、あらゆる進歩の根にある個人性を壊すことで、人類に大きな害を与えるからです。
出典:マハトマ・ガンディー『Selections from Gandhi』41頁(日本語訳は筆者訳)
制度は人を守るために必要ですが、制度そのものが目的になると、個人の声や創意が失われることがあります。
正義を考えるときは、「全体に便利か」だけでなく、「一人の尊厳を不必要に奪っていないか」も見る必要があります。
27. 最も低い場所にいる人への奉仕が、政治へつながる
I cannot do so without their service. Hence my passion for the service of the suppressed classes. And as I cannot render this service without entering politics I find myself in them.
抑圧された人々に仕えずして、私はそこへ至ることができません。だからこそ、私は抑圧された階層への奉仕に情熱を持ち、その奉仕には政治へ入ることが必要だったため、政治の中に身を置いているのです。
出典:マハトマ・ガンディー『Harijan』1924年9月11日、298頁(日本語訳は筆者訳)
ガンディーにとって政治は、地位を得る手段ではなく、声の弱い人へ仕えるための場所でした。
大きな社会問題をすぐ解決できなくても、目の前で困っている一人の負担を一つ減らすことはできます。
28. 誇りと自己中心性があれば、非暴力は成り立たない
If one has pride and egoism, there is no non-violence. Non-violence is impossible without humility.
誇りと自己中心性があるなら、そこに非暴力はありません。謙虚さなしに非暴力は不可能です。
出典:マハトマ・ガンディー『Harijan』1939年1月28日、442頁(日本語訳は筆者訳)
自分だけが完全に正しいと思うと、相手は対話の対象ではなく、打ち負かす対象になってしまいます。謙虚さは、自分の考えを捨てることではなく、誤りうる余地を残すことです。
反論する前に、相手の言い分を一文で正確に言い換えてみる。対話の摩擦を減らす小さな方法です。
29. 何度失敗しても、道への信頼を失わない
Though, therefore, from my weakness I fail a thousand times, I will not lose faith.
自分の弱さゆえに千回失敗したとしても、私は信頼を失いません。
出典:マハトマ・ガンディー『Young India』1926年6月17日、215頁(日本語訳は筆者訳)
失敗の回数ではなく、そこから戻る力が習慣をつくります。途中で崩れたことは、すべてが無駄になった証拠ではありません。
復帰ルールを一つ決めておくと再開しやすくなります。たとえば「途切れた翌日は、一分だけやる」で十分です。
30. 真理と非暴力を生活の法則にすれば、解決への道が開く
Every problem would lend itself to solution if we are determined to make the Law of Truth and Non-violence the Law of Life.
真理と非暴力の法則を人生の法則にすると決意するなら、あらゆる問題は解決へ向かう余地を持つでしょう。
出典:マハトマ・ガンディー『Young India』1931年10月1日、287頁(日本語訳は筆者訳)
問題がすぐ消えるという約束ではありません。事実を曲げず、相手を傷つけることも避けるという二つの基準が、次の行動を選ぶ方向を与えてくれます。
迷ったときは、「これは真実に近いか」「不必要な傷を増やさないか」の二問だけに戻る。それが、現実を一ミリ善くする一手になります。
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非暴力と奉仕を別の角度から考えたい方には、マザー・テレサの愛と奉仕の名言も参考になります。
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まとめ|正しい結果より、今日選ぶ正しい手段へ戻る
ガンディーの30の言葉を通して見えてくるのは、真理、非暴力、勇気、正義、謙虚さが別々の徳ではなく、一つの生き方としてつながっていることです。
結果を完全に支配することはできません。それでも、いま使う言葉、相手への接し方、次に選ぶ手段は見直せます。迷った日は、すべてを変えようとせず、事実を一行書く、返信を一つ整える、怒りのまま送信しない、といった最小の一歩で十分です。
大きな理想は、目の前の小さな選択から始まります。今日の一手が、現実をほんの一ミリでも善い方向へ動かすものでありますように。
出典・参考文献
参考:マハトマ・ガンディー『Young India』『Harijan』『An Autobiography』『Hind Swaraj』『Selected Letters I』『The Collected Works of Mahatma Gandhi』、Mahatma Gandhi One Spot Complete Information Website掲載の『The Selected Works of Mahatma Gandhi』。

