大久保利通の名言25選|君民共治・自由・制度・国づくりを学ぶ言葉

執筆・編集:meigen89

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大久保利通は、明治政府の中枢で制度整備と内政を進めた政治家です。欧米視察後にまとめた「立憲政体に関する意見書」では、君主政治と民主政治の長短を比較し、日本の事情に合う「君民共治」を構想しました。

この記事では、国立国会図書館が公開する原資料と、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』所収の本文を照合し、意味が一続きで完結する25の言葉を選びました。旧字体・旧仮名遣いは意味を変えない範囲で読みやすく整え、英語文は当サイトによる自然な英訳です。

これらは短い処世訓というより、自由、権利、法、権力、改革を考えるための重要な文章です。現代の組織運営や判断にもつながる視点として読み解きます。

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政体を定める出発点

1. 政体を一つの型だけで決めつけない

Those who discuss forms of government speak of monarchy or democracy. Yet democracy should not simply be adopted, nor monarchy simply discarded.

政体を論じる者は、君主政治あるいは民主政治と言う。しかし、民主をそのまま採るべきでもなく、君主をただ捨てるべきでもない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

大久保は、政体を二者択一で選ぶのではなく、それぞれの長所と危険を見たうえで日本に合う形を探そうとしました。制度の名前より、実際に何を守り、どう機能するかを重視しています。

議論が二択に固まったときは、両方が守ろうとしている価値を一つずつ書き出すと、第三の設計が見えやすくなります。

2. 国家の骨格を先に固める

The form of government is the trunk of nation-building and the source of administration. If it is not firmly established, on what can the state stand and by what can government be conducted?

政体は建国の幹であり、政治の根源である。その形が確立しなければ、国を何によって立て、政治を何によって行うのか。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

政策をいくつ並べても、権限、責任、手続きが曖昧なら継続しません。大久保は、個別施策より先に国家運営の基本規則を定める必要を説いています。

組織の問題が繰り返すときは、担当者の努力だけでなく、決定権と責任の所在が明文化されているかを確認してください。

3. 民主政治は天下を一人の私物にしない

Democratic government does not make the realm the private possession of one person; it seeks the broad benefit of the whole nation and enables the freedom of the people.

民主の政治は、天下を一人の私物とせず、広く国家全体の利益を図り、人民の自由を実現する。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

ここで重視されているのは、権力を私益から切り離すことです。自由も単なる放任ではなく、国家全体の利益と両立する公共的な原理として語られています。近代日本の独立と公共性を別の角度から考えるには、福沢諭吉の名言も参考になります。

現代の組織でも、私益と公共利益を区別できる説明責任が、権力の正当性を支えます。

4. 法律の目的と首長の責任を守る

It preserves the true purpose of law and government and keeps the chief from departing from the duties of office; in this respect it fulfills a natural principle.

法律と政治の本旨を失わず、首長がその任務から外れないようにする。それは自然の道理にかなう。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

良い政治を指導者の人格だけに任せず、法律と職務によって支える考えです。能力のある人が就いても、役割の境界がなければ権力は目的から逸れます。

職務の範囲が明確であるほど、指導者の交代後も法律と政策の目的を保ちやすくなります。

5. 制度は国民の経験と慣習に合わせる

This form may suit newly founded countries and newly settled peoples, but it cannot be applied unchanged to a people long accustomed to old customs and fixed abuses.

この政体は、新しく建てられた国や新たに移住した民には施し得る。しかし、古い慣習になじみ、旧弊に固着した国民へそのまま適用することはできない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

制度の理念が優れていても、社会の経験や慣習を無視して移植すれば機能しません。大久保は、改革の方向と実施可能性を分けて考えています。

新しい仕組みを導入するときは、完成形を一度に押し込まず、最初の一週間で試せる範囲に縮めて反応を確かめるのが現実的です。

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意見書の一節だけでなく、岩倉使節団後の政策や明治政府での役割を伝記と史料から読むと、「君民共治」の背景がより明確になります。

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民主政治の可能性と危険

6. 小国の独立は国際均衡にも支えられる

Switzerland is a fertile and naturally protected country. The direction it takes affects the balance of Europe, and therefore surrounding powers restrain one another from seizing it.

スイスは豊かで四方を守られた国である。その向背は欧州全体の勢力を左右するため、各国が互いに牽制し、あえて侵そうとしない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

政治制度は国内事情だけでなく、地理と国際関係にも左右されます。大久保は民主政治の実例を、理念だけでなく安全保障上の条件と結びつけて見ていました。

成功例を理解するには、その方法だけでなく、地理、規模、競争環境などを含む条件を見る必要があります。

7. 抑圧への反発が新しい国の原理になる

The United States had not yet existed for a hundred years. Having suffered under monarchical oppression, it founded its nation on democratic government.

アメリカ合衆国は建国からまだ百年に満たない。もとは君主政治の圧制に苦しみ、民主をもって国を建てた。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

制度は抽象的な理想だけで生まれるのではなく、過去の苦痛への応答として形づくられます。自由を重んじる背景には、圧制を繰り返さないという歴史的記憶があります。

新しい制度の背後には、過去の抑圧を繰り返さないという社会的な記憶が置かれることがあります。

8. 民主政治にも党派対立の危険がある

Yet its defect is that parties form and gather their own kind, creating a danger of gradual division and collapse that cannot be dismissed.

しかし、その弊害として党派を立て、同類を集め、次第に分裂して崩れる危険も測り知れない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

大久保は民主政治を理想化せず、党派が公共利益より自己勢力を優先する危険を見ています。多数の参加があっても、対立を処理する規則がなければ統治は不安定になります。

意見が陣営化した会議では、人物や所属ではなく、合意できる評価基準を先に決めると対立を具体的な比較へ戻せます。

9. 民主の名でも暴政は起こり得る

The violence and cruelty of democratic government in revolutionary France became worse than monarchical despotism; when name and reality diverge so far, it cannot be called the best government.

かつてフランスの民主政治は、その凶暴と残虐において君主専制より甚だしかった。名と実がこれほど背けば、最良の政体とは言えない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

民主という名称だけでは正当性は保証されません。自由や人民の名を掲げても、暴力と排除が支配すれば制度の目的は失われます。

理念の名称より、反対者の権利と手続きが実際に守られているかが制度の質を示します。

10. 新しい政体には、それを支える社会条件が要る

In other newly founded countries and among newly settled peoples, this political form has likewise been put into practice.

そのほかにも、新しく建てられた国、新たに移住した民の社会で、この政体は行われている。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

大久保は、民主政治が成立した例を、新しい国家や移住社会という条件と結びつけて見ています。制度だけを切り出さず、それを受け入れた社会の成り立ちまで考える姿勢です。

他組織の成功例を取り入れる前に、成立時の人口構成、歴史、利害関係が自分たちと同じかを一度確認してください。

君主政治と権力の限界

11. 強権は一時の秩序を作れても永続しない

Where an ignorant people cannot be governed by commands and agreements, a person of superior ability may rely on power and authority to rule them. Such government may fit a particular moment.

民が蒙昧で命令や約束だけでは治められない時、才力の優れた者が威力と権勢によって統治することがある。それは一時には適用する場合がある。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

大久保は強い統治が非常時に機能する可能性を認めつつ、それを恒久的な理想とはしていません。短期の有効性と長期の正当性は別問題です。幕末から明治への現実的な移行を考える際は、勝海舟の名言とも通じる論点があります。

緊急措置には、開始条件だけでなく解除条件と見直し日を同時に定めてください。例外を常態化させないためです。

12. 自由と権利を力で抑える統治には限界がある

A ruler may bind the people’s freedom and suppress their rights by force in order to control them.

権力者が威力に任せ、人民の自由を束縛し、その権利を圧して統御することがある。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

秩序が保たれているように見えても、自由と権利を抑え続ける体制には不満が蓄積します。静けさと安定は同じではありません。

反対意見が消えた状態は、必ずしも合意ではなく、発言の経路が閉じた結果である可能性もあります。

13. 名君がいても制度の不安定は残る

Even when there is an enlightened ruler above and good advisers below, the state cannot escape the defect of internal and external policies changing morning and evening.

上に明君があり、下に良い補佐がいても、内外の政治が朝に変わり夕に変わり、百事が散漫になる弊害を免れない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

優秀な人物がいる間だけ機能する組織は、交代によって揺らぎます。大久保は、人材の質と制度の継続性を分けて考えました。

重要な仕事は、担当者の記憶ではなく、判断基準と引き継ぎ手順を残してください。人が替わっても目的を保つためです。

14. 権力の私物化は国の怒りを一人へ集める

If a tyrant or corrupt official wields power at will, life and death, grant and deprivation follow personal whim; the anger and resentment of the people then gather upon the ruler.

暴君や汚吏が権力をほしいままにすれば、生殺与奪が意のままに行われ、民衆の怒りと国家の怨みは君主一人へ帰する。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

権力が集中し、誤りを修正する仕組みがなければ、不正の責任も一点へ集中します。統治者を守るためにも、権限の制約と監視が必要です。

重大な決定を一人に集中させず、記録、承認、異議申立ての三つを設けると、誤りの早期修正につながります。

15. 人の思いつきより原則に従う

When law and government arise chiefly from human will rather than enduring principle, they cannot be maintained for long under changing human feelings and circumstances.

法律と政治が主として人の思いつきから出て、道理に従わなければ、人情と時勢の変化の中で長く保つことはできない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

その場の都合で規則を変えると、予測可能性が失われます。大久保が求めたのは、権力者の好悪より上に置かれる共通原則です。

例外対応をしたときは、理由と期限を記録してください。記録のない例外は、次の恣意的判断の前例になりやすいからです。

16. 革命の歴史を権力への警告とする

The upheavals associated with Cromwell in England and the French Revolution stand as tracks from which the danger of concentrated rule can be recognized.

イギリスのクロムウェルの時代やフランス革命は、集中した統治が覆る危険を示す前例として見ることができる。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

大久保は欧州史を、外国の物語ではなく制度設計の失敗例として読みました。歴史の事件は、権力が限界を超えた時に何が起こるかを示します。明治六年政変後の政治状況を人物の側から見るには、西郷隆盛の名言も対照になります。

歴史は人物評だけでなく、誤りを止める仕組みが働かなかった理由を考える材料になります。

日本に合う制度をつくる

17. 政体は土地・風俗・人情・時勢から生まれる

Although forms of government differ, they generally arise naturally according to land, customs, human character, and the circumstances of the age.

政体には違いがあるが、おおむね土地、風俗、人情、時勢に従って自然に成立するものである。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

制度は紙上だけで完成するものではなく、社会の生活様式や価値観との相互作用で形づくられます。外国の成功制度も、条件が違えば同じ結果にはなりません。

制度比較では、仕組みの形より、それを支える社会条件の違いが重要になります。

18. 新しく作り過ぎず、古い形にも固執しない

A political system is not something to be fabricated at will from today onward, nor something to be preserved unchanged merely because it is ancient.

政体は、今から思いのままに作り上げるものでもなく、古いというだけでそのまま守り続けるものでもない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

改革と伝統のどちらかを絶対視しない姿勢です。残す理由と変える理由をそれぞれ検討し、機能する部分を選び直す必要があります。

既存制度を見直すときは、「守るもの」「変えるもの」「試すもの」の三欄に分けると、全面否定と惰性の両方を避けられます。

19. 他国の制度をそのまま移植しない

The political system of Russia cannot simply be applied to Britain, nor Britain’s to America; likewise, none of those systems can be carried over unchanged to Japan.

ロシアの政体をイギリスに施すことはできず、イギリスの政体をアメリカに用いることもできない。それらをそのまま日本に行うこともできない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

比較から学ぶことと模倣することは違います。制度の表面ではなく、どの問題に対して生まれた仕組みかを理解する必要があります。

成功例を採用する前に、「その制度が解決した元の問題は、自分たちにも存在するか」を確認してください。

20. 日本自身の条件から政体を立てる

Japan must establish its own political form in accordance with its land, customs, human character, and present circumstances.

日本は、日本の土地、風俗、人情、時勢に従って、自らの政体を立てなければならない。

出典:大久保利通「立憲政体に関する意見書」(明治6年11月)、議会政治社編輯部『日本憲政基礎史料』pp.106–122(旧字体・旧仮名遣いを現代化、英訳は当サイト)

大久保の結論は排外的な独自路線ではなく、比較研究を踏まえた適応です。学ぶ対象を広く持ちながら、最終設計は自国の現実へ戻しています。

比較研究を広く行いながら、実施段階では日本の現実へ適応させるという発想です。

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