夢野久作の名言25選|創作・個性・人間心理を考える言葉

夢野久作の肖像

21. 意欲があっても書けない日はある

When I have so much material and want desperately to write yet cannot produce a line, the fault must surely lie with my pen.

書きたい材料がコンナにあって、書きたくて書きたくてウズウズしているのに、一行も書けないとなれば、その責任は当然、私のペンに在るに違いありませぬ。

出典:夢野久作『スランプ』(英訳は筆者訳)

材料や意欲が不足していなくても、文章が動かないことがあります。書けない状態を人格の欠陥にせず、道具や手順の問題として距離を取るユーモアがあります。

本文を書けないなら、見出しだけ、箇条書きだけ、音声メモだけに変えてください。ペンを替えるように手段を替えると、再開の摩擦が下がります。

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読書と芸術を味わう言葉

22. 深く残る読書は、自分の一部になる

What remains in my memory from their works seems to have become my own philosophy, poetry, and art.

二人の作品で、私の記憶に残っているものはソックリそのまま私の哲学であり、詩であり、芸術になってしまっているような気がする。

出典:夢野久作『私の好きな読みもの』(英訳は筆者訳)

本は情報として消費されるだけではありません。忘れられない場面や感覚は、その後の判断や表現の基準になり、自分の内側で働き続けます。

最近読んだものから、まだ覚えている一文か場面を一つ書いてください。要約より、何が残ったかを確かめる方が読書を自分の力にできます。

23. 完全な形式より、表現する人の力を見る

I do not mind if the scale or sound is imperfect; I am interested in the player’s skill and the music produced by that hand.

多少音階が違っていても、音が悪くても構わない。それを弾じている人の腕前と、その腕から出て来る音律に興味を持つようである。

出典:夢野久作『私の好きな読みもの』(英訳は筆者訳)

技術的な正しさだけでは、作品の魅力を測れません。多少の不均衡があっても、誰がどのように表現したかに固有の価値があります。

完璧に整える前に、あなたらしい判断が見える部分を一つ残してください。欠点を減らすだけでなく、持ち味を強める編集も必要です。

誠実さと感謝を言葉にする

24. 飾らない自分を示すことも感謝になる

Perhaps the truest gratitude for a literary debt is to present one’s unadorned self before one’s mentor.

作り飾らぬ自己を先輩の前に投げ出す事が、こうした文筆上の恩誼に対する、唯一無上の正しい感謝のしかたではないかしらん……。

出典:夢野久作『江戸川乱歩氏に対する私の感想』(英訳は筆者訳)

恩人の機嫌を取る文章ではなく、率直な自分を見せることが誠実な応答になると考えています。感謝は、無批判な称賛と同じではありません。

感謝を伝えるとき、決まり文句に加えて「何が自分を変えたか」を一つ具体的に書いてください。相手の行為が残した影響まで伝わります。

25. 無難さだけで、自分の言葉を失わない

If I could write only a harmless, prearranged piece, I would be a failure; so I decided to write as frankly as I could.

当らず触らずの八百長式のものしか書けない位ならば、私は結局、駄目な人間だ……とも思いましたので、かように行きなり放題に筆を進める気になったのです。

出典:夢野久作『江戸川乱歩氏に対する私の感想』(英訳は筆者訳)

誰にも反対されない文章を目指しすぎると、書く意味まで薄れることがあります。配慮は必要ですが、核心を避け続ければ誠実さも伝わりません。

最も言いにくい主張を一文だけ書き、その後で根拠と配慮を加えてください。核心を先に確保すると、無難さに流されにくくなります。

泉鏡花の幻想と自由を読む言葉や、萩原朔太郎の表現と孤独を考える言葉にも、創作と人間心理を考える手がかりがあります。

夢野久作をさらに深く読むための関連書籍

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『ドグラ・マグラ』と評論をあわせて読む

夢野久作の小説と評論を並べて読むと、怪奇性だけでなく、独自性、読者心理、表現の自由に対する考えが立体的に見えてきます。

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まとめ

夢野久作の評論・随筆に残された言葉は、既存の枠に入ることより、自分の井戸から言葉を汲み、読者へ正々堂々と材料を見せることを重視しています。独自性は奇抜さではなく、自分の実感と判断を作品の中心へ置く姿勢から生まれます。

また、伝統の価値を認めながら、目的に不要な定番は捨ててよいとも述べました。行き詰まりは終点ではなく、次の使命を定義し直す場所です。書けない日には手段を替え、完成度より再開可能な一歩を残すことができます。

心に残った一文を一つ選び、見出しだけ書く、題材を一つ記録する、不要な慣例を一つ外すなど、今できる最小の行動へ移してください。小さくラフに始めることが、創作を再び動かします。

出典・参考文献

参考:夢野久作『探偵小説漫想』『探偵小説の真使命』『探偵小説の正体』『スランプ』『私の好きな読みもの』『江戸川乱歩氏に対する私の感想』、青空文庫公開テキスト。掲載文は夢野久作本人の評論・随筆から採録し、英訳は筆者訳です。

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