国際性と公共性を見渡す言葉
21. 著作権を国際問題として見る
著作権というものの性質から考えますと、これは国内的の問題だけではなくて国際的問題であるということです。
出典:国立国会図書館「国会会議録検索システム」 第13回国会 文部委員会 第27号(1952年4月24日)(表記を一部現代化)
作品は国境を越えて読まれ、翻訳されます。作家でもあった山本有三は、著作権を国内制度だけで完結しない問題として捉えました。
文化の交流を広げることと、創作者の権利を守ることは両立させる課題です。一つの国の都合だけでなく、相互性と長期的な信頼を見る必要があります。
22. 制度の不均衡を見逃さない
東京なり京都なりの博物館は本館であるが、奈良だけは分館であるということは、いかにも均衡を失することであります。
出典:国立国会図書館「国会会議録検索システム」 第13回国会 文部委員会 第54号(1952年7月28日)(表記を一部現代化)
奈良の博物館を本館とする修正に賛成した理由です。名前や組織上の位置づけも、地域の尊重と資源配分に影響します。
形式に見える違いが、実際の扱いの差を固定することがあります。制度を読むときは、同じ役割を担うものが同じ基準で扱われているかを確かめたいところです。
23. 緊急という説明を吟味する
改めて今日、緊急やむを得なかった事情を御説明願いたいと存じます。
出典:国立国会図書館「国会会議録検索システム」 第15回国会 文部委員会 第5号(1952年12月2日)(表記を一部現代化)
「緊急だった」という説明は、通常の手続きを省いた理由になり得ます。だからこそ山本有三は、その事情を具体的に説明するよう求めました。
例外を認める場合には、何が緊急で、ほかの手段がなぜ取れなかったかを記録する必要があります。善意の行為でも、説明責任は残ります。
24. 私情より公の責任を優先する
一応私もわかります。しかしながら、それは私情なんです。あなたは文部大臣として、そういう私情でもって言ってよろしいのかどうか。
出典:国立国会図書館「国会会議録検索システム」 第15回国会 文部委員会 第12号(1952年12月19日)(表記を一部現代化)
同僚への配慮は人として理解できても、公職の説明とは別だと山本有三は迫りました。相手を理解することと、責任を免除することを区別しています。
共感は判断を柔らかくしますが、役割に伴う義務まで消しません。誰に対して説明する立場なのかを思い出すことが、身内びいきを防ぎます。
25. 対話を建設の場にする
質問することによって、またそれに答弁することによって、その質疑応答の間でそれが建設的になっていくのが、議会本来のあり方だと思うんです。
出典:国立国会図書館「国会会議録検索システム」 第15回国会 文部委員会 第17号(1953年3月5日)(表記を一部現代化)
質問は相手を追い詰めるだけの道具ではなく、答えと往復する中でよりよい案を作るものだという考えです。対話の目的を勝敗から建設へ戻します。
よい質問は、前提を明らかにし、修正の余地を作ります。反論するときも、相手の誤りを示すだけでなく、次に何を考えればよいかを開く問いにできます。
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まとめ|山本有三の言葉は理想を公共の仕事へつなぐ
山本有三の名言25選には、一度きりの人生を生かすという文学的な信念と、事実・基準・手続きを確かめる公共人の姿勢が通っています。理想は声高に掲げるだけでなく、記録し、説明し、異なる意見と調整して初めて社会の形になります。
「質問すること」と「答えること」の間で建設的なものを生むという最後の言葉は、25の言葉全体を結びます。自分の考えを守りながら、確かめる問いを持つ。その往復が、一度きりの生を他者とともに生かす方法なのでしょう。
日常の言葉から公共性を描いた作家としては向田邦子の名言、社会の現場へ出て書いた作家としては開高健の名言もあわせてお読みください。
出典・参考文献
- 三鷹市山本有三記念館「山本有三紹介」
- 栃木市・山本有三ふるさと記念館/山本有三文学碑
- 国立国会図書館「国会会議録検索システム」(山本勇造名義の委員会・各種会議発言を会議名・日付で照合)
- 国立国語研究所(設立と国語政策の背景確認)
- 新潮社『路傍の石』書誌

