エピクロスの名言30選|幸福・不安・死を見つめ直す哲学の言葉

執筆・編集:meigen89

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エピクロスは、紀元前4世紀から3世紀にかけて活動した古代ギリシアの哲学者です。快楽を人生の目的としましたが、それは刺激を追い続ける生き方ではありません。身体の苦痛がなく、心が乱されていない状態を大切にし、欲望を見分け、死への恐れを手放し、友情の中で静かに生きる道を説きました。

不安や考えすぎが強いとき、人は「もっと手に入れなければ」「悪いことが起きるかもしれない」と未来へ引っ張られます。エピクロスの言葉は、必要なものと際限のない欲望を分け、今ある安心へ注意を戻す助けになります。

この記事では、『主要教説』と『メノイケウス宛の手紙』から、意味が独立して確認できる30の言葉を選びました。幸福、快楽、欲望、死、痛み、友情、正義というテーマを通して、現代の生活で実践できる形に解説します。

古代ギリシア哲学を読み比べたい方は、アリストテレスの名言30選ヘラクレイトスの名言30選も参考になります。

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幸福を学び、人生を整えるエピクロスの名言

1. 哲学を始めるのに、早すぎる時も遅すぎる時もない

Let no one be slow to seek wisdom when he is young nor weary in the search thereof when he is grown old. For no age is too early or too late for the health of the soul.

若いからといって知恵を求めるのを遅らせてはならず、年老いたからといって探究に疲れてはならない。魂の健康にとって、早すぎる年齢も遅すぎる年齢もない。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』122(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

哲学は、特別な人だけの知識ではありません。何を恐れ、何を望み、どう生きたいかを見直すことも、魂を整える実践です。

始める時期を待つより、今日ひとつ問いを持つ方が現実は動きます。「今の私に本当に必要なものは何か」と一行書くだけでも十分です。

2. 幸福を生むことは、知るだけでなく日々練習する

So we must exercise ourselves in the things which bring happiness, since, if that be present, we have everything, and, if that be absent, all our actions are directed toward attaining it.

だから私たちは、幸福をもたらすことを日々練習しなければならない。幸福があれば私たちはすべてを持ち、なければ、すべての行為はそれを得るために向けられるからだ。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』122(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

幸福について知るだけでは、日々の感情や選択は変わりません。何を減らし、何を守ると穏やかでいられるかを実際に試すことが、哲学の練習になります。

今日は一つだけ、心を荒らす行動を減らしてみてください。通知を一時間切るほどの小さな実験でも十分です。

3. 快い人生は、知恵・善・正義と切り離せない

It is impossible to live a pleasant life without living wisely and well and justly, and it is impossible to live wisely and well and justly without living pleasantly.

知恵深く、善く、正しく生きずに快い人生を送ることはできない。そして、快く生きることなく、知恵深く、善く、正しく生きることもできない。

出典:エピクロス『主要教説』第5条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

エピクロスの快楽は、他者を傷つけて得る一時的な満足ではありません。良心や信頼を失えば、不安が残り、心の平静も壊れます。

迷ったときは、「この選択は後で自分を落ち着かせるか」と問うと、目先の得と長い安心を分けやすくなります。

4. 人生の大切な部分は、運より理性によって導ける

Fortune but seldom interferes with the wise person; his greatest and highest interests have been, are, and will be, directed by reason throughout the course of his life.

運命が賢い人に干渉することはまれである。人生で最も大切な事柄は、これまでも、今も、これからも、理性によって導かれる。

出典:エピクロス『主要教説』第16条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

偶然を完全に消すことはできません。それでも、自分にとって重要な方向は、日々の判断によって整えられると語っています。

コントロールできない結果ではなく、今日選べる一手へ戻る。連絡を一つ済ませる、予定を一つ決めるだけでも、人生の舵を握り直せます。

5. 選択は、自分が目指す生き方へ結びつける

If you do not on every separate occasion refer each of your actions to the end prescribed by nature, but instead of this in the act of choice or avoidance swerve aside to some other end, your acts will not be consistent with your theories.

一つひとつの行為を自然が定めた目的に照らさず、選択や回避のたびに別の目的へそれるなら、行動は自分の考えと一致しなくなる。

出典:エピクロス『主要教説』第25条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

掲げた価値観と、実際の選択が別方向へ進むと、内面に摩擦が生まれます。目的を増やしすぎるほど、そのずれにも気づきにくくなります。

今の作業について「何のためにするのか」を一文で確認してみてください。目的に関係しない手順を一つ減らすことが、より少なく、しかしより良く進む助けになります。

死や痛みへの不安を軽くするエピクロスの名言

6. 死は、感覚のないところで私たちを苦しめない

Death is nothing to us; for the body, when it has been resolved into its elements, has no feeling, and that which has no feeling is nothing to us.

死は私たちにとって何ものでもない。身体が要素へ解ければ感覚はなくなり、感覚のないものは私たちにとって何ものでもないからだ。

出典:エピクロス『主要教説』第2条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

エピクロスは、死そのものを経験する主体はいないと考え、まだ存在しない苦痛を今の生活へ持ち込まないよう促しました。

死への不安を無理に消す必要はありません。ただ、不安が現れたら「今この瞬間に起きていること」と「未来の想像」を分け、目の前の一呼吸へ戻ることはできます。

7. 不足の痛みが消えたところに、快楽の限界がある

The magnitude of pleasure reaches its limit in the removal of all pain. When pleasure is present, so long as it is uninterrupted, there is no pain either of body or of mind or of both together.

快楽の大きさは、あらゆる痛みが取り除かれたところで限界に達する。快楽が途切れずにある間、身体にも心にも、その両方にも痛みはない。

出典:エピクロス『主要教説』第3条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

快楽を際限なく足すのではなく、苦痛や欠乏が静まった状態を十分とみなす考えです。刺激の強さではなく、穏やかさが基準になります。

何かを追加する前に、睡眠不足や空腹、散らかった机など、今の不快を一つ減らしてみてもよいでしょう。幸福への近道が、足すことではなく整えることの場合があります。

8. 激しい痛みは長く続かず、長い痛みには緩む時間がある

Continuous pain does not last long in the body; on the contrary, pain, if extreme, is present a short time, and even that degree of pain which barely outweighs pleasure in the body does not last for many days together.

絶え間ない痛みは身体に長く続かない。極端な痛みは短時間であり、快さをわずかに上回る程度の痛みも、何日も同じ強さでは続かない。

出典:エピクロス『主要教説』第4条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

痛みの感じ方や医療的な状況は人によって異なりますが、この教説は「今の強さが永遠に続く」という恐れへ距離を置く視点を示します。

苦しいときは人生全体を決めず、次の十分、次の一時間という短い単位で考える方が安全です。必要な医療や助けを求めることも、理性的な一歩です。

9. 恐怖がなければ、自然を学ぶ必要も生まれなかった

If we had never been molested by alarms at celestial and atmospheric phenomena, nor by the misgiving that death somehow affects us, nor by neglect of the proper limits of pains and desires, we should have had no need to study natural science.

天や大気の現象への恐れ、死が私たちに影響するという疑い、痛みと欲望の限界を知らないことに悩まされなければ、自然を研究する必要はなかっただろう。

出典:エピクロス『主要教説』第11条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

世界の仕組みを学ぶ目的は、知識を誇ることではなく、根拠のない恐れから心を解放することにあります。

不安な情報を見たときは、推測を増やす前に信頼できる資料を一つ確認する。事実を知ることが、想像の暴走を弱める場合があります。

10. 世界の性質を知らずに、根深い恐怖は手放せない

It would be impossible to banish fear on matters of the highest importance, if a person did not know the nature of the whole universe, but lived in dread of what the legends tell us.

宇宙全体の性質を知らず、伝説が語ることを恐れて生きるなら、最も重大な事柄への恐怖を取り除くことはできない。

出典:エピクロス『主要教説』第12条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

理解できない出来事を、恐ろしい物語で埋めると不安は強くなります。エピクロスは、観察と理性によって世界を見ることを心の治療と考えました。

人から聞いた話と確認できた事実を分けて書くだけでも、恐れの輪郭が変わります。分からないことは、分からないまま保留してかまいません。

11. 未来への恐怖を離れると、限られた人生でも完全になれる

The mind, grasping in thought what the end and limit of the body is, and banishing the terrors of futurity, procures a complete and perfect life, and has no longer any need of unlimited time.

心は、身体の終わりと限界を理解し、未来への恐怖を追い払うことで、完全で満ちた人生を得る。そして、もはや無限の時間を必要としない。

出典:エピクロス『主要教説』第20条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

人生の価値は、ただ長さを増やすことだけでは決まりません。限界を受け入れることで、今ある時間を薄めずに生きられます。

いつか十分な時間ができるのを待たず、今日の十分を満たす。読みたい文章を一ページ読むなど、今に完結する行動を一つ選んでみてください。

12. 未来は完全に支配できず、完全に無関係でもない

We must remember that the future is neither wholly ours nor wholly not ours, so that neither must we count upon it as quite certain to come nor despair of it as quite certain not to come.

未来は完全に私たちのものでも、完全に私たちと無関係でもない。だから、必ず思いどおりになると当てにせず、決して来ないと絶望してもならない。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』127(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

未来には、自分で準備できる部分と、支配できない部分があります。どちらか一方に決めつけない態度が、不安と無力感の両方を和らげます。

明日の結果を保証しようとせず、今日できる準備を一つだけ済ませる。コントロールの二分法に近い、現実的な希望の持ち方です。

欲望と快楽を正しく選ぶエピクロスの名言

13. 欲望には、自然なものと根拠のないものがある

We must also reflect that of desires some are natural, others are groundless; and that of the natural some are necessary as well as natural, and some natural only.

欲望には自然なものと根拠のないものがあり、自然な欲望の中にも、必要なものと、自然ではあっても必要ではないものがあると考えなければならない。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』127(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

欲しいものをすべて同じ重さで扱わず、必要性を見分けることが平静につながります。空腹を満たすことと、人より多く持ちたいことは別の欲望です。

買う前や引き受ける前に、「必要・あると快い・なくても困らない」の三つに分けると、選択が軽くなります。

14. 幸福の目標は、身体の安定と心の静けさにある

He who has a clear and certain understanding of these things will direct every preference and aversion toward securing health of body and tranquillity of mind, seeing that this is the sum and end of a happy life.

これらを明確に理解する人は、身体の健康と心の平静を確保するように、選択と回避のすべてを向ける。そこに幸福な人生の要点と目的があるからだ。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』128(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

何かを手に入れること自体ではなく、その後に心が静まるかを基準にしています。目的を忘れると、安心を求めて始めた行動が新しい不安を生むことがあります。

予定を増やす前に、それが平静を守るのか、焦りを増やすのかを確認してみてください。断ることが、心を整える選択になる場合もあります。

15. 快楽だからという理由だけで、すべてを選ぶわけではない

We do not choose every pleasure whatever, but often pass over many pleasures when a greater annoyance ensues from them.

私たちは、どんな快楽でも選ぶわけではない。より大きな苦痛が後に続くなら、多くの快楽を見送ることがある。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』129(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

快いことを悪と決めつけず、結果まで見て選ぶ姿勢です。短い快楽が、睡眠不足、出費、後悔という長い不快を残すことがあります。

「今気持ちよいか」だけでなく、「一時間後の自分は落ち着いているか」まで考えると、選択の質が変わります。

16. 一時の痛みを引き受けることで、より大きな快さを得る

Often we consider pains superior to pleasures when submission to the pains for a long time brings us as a consequence a greater pleasure.

長く痛みに耐えた結果、より大きな快楽が得られるなら、私たちはしばしば痛みの方を快楽より優れていると考える。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』129(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

運動、治療、学習のように、今は負担でも後の自由を増やす行動があります。苦痛を美化するのではなく、全体の結果を比べる判断です。

大きな我慢を課す必要はありません。将来の負担を減らす一分の準備を選ぶだけでも、長い目で見れば快さを増やします。

17. 快楽そのものではなく、その代償まで見て選ぶ

No pleasure is in itself evil, but the things which produce certain pleasures entail annoyances many times greater than the pleasures themselves.

快楽そのものは悪ではない。しかし、ある快楽を生み出すものは、その快楽の何倍もの苦痛を伴うことがある。

出典:エピクロス『主要教説』第8条(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

自分を責めるより、快楽と代償の組み合わせを見る言葉です。行動を善悪だけで裁くより、何が後に残るかを具体化できます。

やめたい習慣があるなら、直後の快さと翌日の負担を二行で書いてみてください。判断材料が見えると、意志だけに頼らず選び直せます。

18. 少ないもので満足できる力は、大きな自由になる

We regard independence of outward things as a great good, not so as in all cases to use little, but so as to be contented with little if we have not much.

私たちは外的なものから自立することを大きな善と考える。それは常に少ししか使わないためではなく、多くを持たない時にも少ないもので満足できるためである。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』130(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

貧しさを理想化するのではなく、所有量に幸福を支配されない自由を目指しています。多くあれば楽しみ、少なくても平静を失わない姿勢です。

今日は新しいものを求める前に、すでに持っている一つを使い切る。満足の基準を自分へ戻す小さな練習になります。

19. 空腹が満たされれば、簡素な食事にも十分な喜びがある

Plain fare gives as much pleasure as a costly diet, when once the pain of want has been removed.

欠乏の痛みが取り除かれれば、簡素な食事も高価な食事と同じほどの喜びを与える。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』131(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

満足は価格だけで決まりません。空腹が満たされ、安心して味わえること自体に大きな価値があります。

食事や休憩の間だけ画面を置き、今あるものへ注意を向ける。刺激を増やさなくても、受け取る力を戻すことで喜びは深まります。

20. 快楽の目標は、身体の痛みと心の乱れがないこと

By pleasure we mean the absence of pain in the body and of trouble in the soul.

私たちが快楽と言う時、それは身体に痛みがなく、魂に乱れがないことを意味する。

出典:エピクロス『メノイケウス宛の手紙』131(英訳:Robert Drew Hicks、日本語訳は筆者訳)

快楽は、興奮を絶えず上乗せすることではありません。苦痛や心配が静まった状態そのものに価値があると考えます。

何かを足す前に、今の不快を一つ減らしてみてください。椅子の姿勢を直す、未返信を一件だけ済ませるような小さな調整でかまいません。

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