外集団同質性バイアスとは?「あの人たちは皆同じ」と感じる心理と対処法

白い背景に並ぶ、色と長さがそれぞれ異なる色鉛筆

執筆・編集:meigen89

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自分の部署には慎重な人も大胆な人もいる。それなのに、別の部署については「あそこは皆、融通が利かない」と感じてしまう。自分の仲間の違いはよく見えるのに、よその集団はひとまとまりに見える――この偏りを考える手がかりが、外集団同質性バイアスです。

この言葉は、意見の違う人を「偏見のある人」と決めつけるための診断名ではありません。少ない経験から集団全体を判断していないか、目の前の人について知らない部分を残せているかを、自分の側で点検するために使えます。

外集団同質性バイアスとは

外集団同質性バイアス(outgroup homogeneity bias/out-group homogeneity effect)とは、自分が所属すると感じる集団よりも、その外の集団の人々を「互いに似ている」「個人差が小さい」と捉える傾向です。「外集団同質性効果」とも呼ばれます。同質性は、ここでは集団内の人々が似通っていると感じることを意味します。

内集団は「自分たち」と感じる集団、外集団はその区分では「自分たちの外」にある集団です。外集団は敵や劣った人を意味しません。同じ会社の同僚でも、部署を基準にすれば外集団、会社を基準にすれば内集団になりえます。

研究が扱うのは、実際の個人差そのものではなく、個人差がどれくらいあると知覚するかです。複数研究をまとめた分析では平均的な傾向が確認される一方、測定方法や集団の社会的な関係によって結果が変わります(Boldry・Gaertner・Quinn, 2007)。

「皆同じ」に見える身近な場面

以下は理解のための架空の例で、特定の部署や世代の特徴を述べたものではありません。

  • 職場:別部署の二人と調整が難しかった経験から、「あの部署の人は全員、話が通じない」と考える。
  • 世代間の会話:自分と同年代の友人については一人ずつ違いを説明できるのに、違う年代については「若い人は」「上の世代は」と一つの特徴でまとめる。
  • SNS:ある趣味のコミュニティで目立つ投稿を数件見て、参加者全員が同じ意見だと感じる。
  • 好意的な評価:尊敬する団体について「そこの人なら皆、誠実で考え方も同じ」と思い、個々の違いを確かめなくなる。

最後の例のように、否定的な印象だけが問題なのではありません。「皆すばらしい」という一括りでも、一人ひとりの希望や得意不得意は見えにくくなります。集団への評価が好意的かどうかと、集団内の多様さを見ているかどうかは、別の問いです。

内集団バイアス・ステレオタイプとの違い

概念 中心となる問い 例
外集団同質性バイアス 集団内の違いをどれくらい認めるか 別部署の人は皆、同じ考え方だと思う
内集団バイアス どちらの集団を有利に扱うか 同程度の提案でも、自分の部署の案を優先する
ステレオタイプ 集団にどんな特徴を結びつけるか ある職業の人に、決まった性格のイメージを持つ
確証バイアス どんな証拠を集め、重く見るか 「皆同じ」という印象に合う投稿だけを覚える

これらは重なることもありますが、同じ意味ではありません。好意的に扱う相手でも一括りに見てしまうことはあり、逆に相手の個人差を認めていても、不公平な扱いをする可能性はあります。優遇や機会配分の問題は内集団バイアス、情報の選び方は確証バイアスの記事で詳しく整理しています。

研究で分かることと、説明の限界

一人の行動から集団全体へ広げやすくなる

QuattroneとJones(1980)は、対抗関係にある二つの大学の学生95人に、同じ大学または相手の大学に属するとされた人物の選択を見せ、同じ選択をする人が集団にどれくらいいるかを推測してもらいました。要旨では、外集団の人物の選択から集団全体へ広げる傾向が、内集団の場合より強く、とくに事前の予想が弱い場面で明確だったと報告されています(Quattrone & Jones, 1980)。

ただし、大学生と限られた選択課題を扱う研究です。一人の行動があらゆる場面で外集団全体に一般化される、とまでは言えません。ここで紹介した内容は論文要旨で確認できた範囲であり、長期的な対策の効果を示すものでもありません。

情報の量だけでなく、何を覚えるかも関係する

ParkとRothbart(1982)は、性別や大学内の団体を用いた4実験で、集団内の違いの知覚と人物情報の記憶を調べました。第4実験では、同じ情報を提示しても、内集団の人物の職業が外集団の人物の職業よりよく想起されました。著者らは、人物を大まかな分類で捉えるか、より細かな特徴まで捉えるかという説明を検討しています(Park & Rothbart, 1982)。

この結果からは、単に「外の人を知らないから」だけでは説明しきれない可能性が読み取れます。ただし、日頃の接触の影響を否定する結果ではなく、特定の課題で得た記憶の差を、すべての人間関係の唯一の原因とすることもできません。

メタ分析では、測り方による違いが重要

Boldryら(2007)のメタ分析は、173の独立したサンプル、12,078人、177の効果量をまとめ、11種類の測定を比較しました。全体では外集団をより同質的に見る小さな傾向がありましたが、測定方法や集団の相対的な地位によっては、内集団の方を同質的に見る結果もありました(出版社公開要旨)。

したがって、「人は必ず外集団を皆同じだと思う」という法則ではありません。また、集団間に現実の違いがあるかどうかは、印象だけでは判定できません。平均の違いと集団内のばらつきは別であり、集団の平均から特定の一人の性格や能力を確定することもできません。

一括りにしないための5つの確認方法

以下は日常の判断に使うための編集上の実践例です。5項目を一組にして効果を検証した介入や治療手順ではなく、実行すれば偏りが必ず消えるというものでもありません。大切な判断の前に、一つだけ確認するところから始められます。

1.「皆」を、実際に見た範囲へ戻す

「あの部署は皆、非協力的だ」を、「今回、依頼した二人からは期限内に返答がなかった」に書き換えます。人数、場面、期間が具体的になると、まだ会っていない人まで結論に含めていたことに気づけます。

人数を数えるだけでは十分ではありません。同じ会議に出ていた二人、同じ投稿を転載した十人など、観察した相手や情報が偏っている場合もあります。

2.「何について似ているのか」を分ける

同じ会社の規則を守っているからといって、価値観や話し方まで同じとは限りません。「承認の手順」「仕事の経験」「好み」など、話題を分けてみます。一つの共通点から、人全体の同質性へ飛躍していないかを確かめる工夫です。

3.所属の説明を、本人への質問に置き換える

「その世代なら電話が好きでしょう」ではなく、「連絡はメールと電話のどちらが便利ですか」と尋ねます。本人が答えられる具体的な希望を確認すると、集団のイメージを個人の希望の代わりに使わずに済みます。

ただし、一人に集団全体の代表を求めないことも大切です。「あなたの国では皆どう考えるのか」より、「あなた自身はどう考えるか」と聞く方が、今回知りたい範囲を明確にできます。

4.違う例を「例外だから」で片づけない

もとの印象と違う人に会ったとき、その人だけを特別扱いして終わらせず、「集団内には、こういう違いもある」と理解を更新します。反対に、好ましい一人との出会いから「全員よい人だ」と結論を反転させる必要もありません。

大切なのは、全員を悪く見ることから全員を良く見ることへ移るのではなく、判断を保留する人や、まだ分からない部分を残すことです。

5.評価は、その人の行動と条件で行う

仕事を任せる、採用する、相談相手を選ぶといった場面では、所属のイメージだけでなく、本人の経験、実績、希望、必要な支援を確認します。同じ行動でも、役割や時間の制約によって事情は変わります。

人の行動をすぐ性格のせいにしてしまうときには、基本的帰属の誤りも手がかりになります。「どの集団の人か」と「この場面で何が起きたか」を分けて検討しましょう。

個人差を見ることは、問題を見逃すことではない

「人それぞれ」と考えることは、共通の規則や組織的な問題を調べない、という意味ではありません。複数の人が同じ対応をするなら、会社の手順や権限が関係しているかもしれません。個人の違いを尊重することと、制度に共通する問題を検証することは両立します。

また、嫌がらせや不公平な扱いを受けたとき、その被害を「あなたの見方の偏り」で片づけるべきではありません。出来事や影響を記録し、必要に応じて職場・学校の相談先や信頼できる人に相談してください。相手を知るために、危険な接触を続ける必要はありません。

よくある疑問

外集団同質性バイアスは、差別と同じですか?

同じではありません。この用語の中心は個人差の知覚です。差別は不公平な扱いという行動や制度の問題を含みます。両者が関係する場合はあっても、「皆似ていると感じた」という一点だけで、その人の動機や行動の全体は判断できません。

相手と話す回数を増やせばなくなりますか?

回数だけで解消すると断言はできません。誰と、どんな場面で、何を知ったかも重要な問いです。上記の実践では、無理に交流を増やすより、必要な場面で本人の具体的な希望や事情を確かめることを提案しています。

まとめ

外集団同質性バイアスは、自分たちの外にいる人々の違いを小さく見てしまう傾向です。内集団びいきとは別の概念で、起こり方は測定方法や状況によって変わります。

「皆同じ」と思ったら、まず「実際に何人の、どの行動を見たのか」と問い直す。そのうえで、目の前の人に必要なことを確かめる。すべてを知ろうとしなくても、知らない部分を知らないまま残すことは、丁寧な判断の出発点になります。

アイキャッチ写真:Jess Bailey / Unsplash。色や長さの異なる鉛筆は、個々の違いを考えるためのイメージです。

参考文献

  • Quattrone, G. A., & Jones, E. E. (1980). The perception of variability within in-groups and out-groups: Implications for the law of small numbers. Journal of Personality and Social Psychology, 38(1), 141–152. https://doi.org/10.1037/0022-3514.38.1.141(APAの論文要旨を確認)
  • Park, B., & Rothbart, M. (1982). Perception of out-group homogeneity and levels of social categorization: Memory for the subordinate attributes of in-group and out-group members. Journal of Personality and Social Psychology, 42(6), 1051–1068. https://doi.org/10.1037/0022-3514.42.6.1051(公開論文PDFの該当箇所を確認)
  • Boldry, J. G., Gaertner, L., & Quinn, J. (2007). Measuring the measures: A meta-analytic investigation of the measures of outgroup homogeneity. Group Processes & Intergroup Relations, 10(2), 157–178. https://doi.org/10.1177/1368430207075153(出版社公開要旨を確認)